展覧会

平成27年 春季展
「千家歴代と樂歴代の茶道具
          ―利休のデザインと展開―」

 千家歴代の茶道具と樂歴代の作品を展示します。

 利休と長次郎が生み出した茶碗は400年以上にわたって樂家に受け継がれ、各代の当主により釉薬や装飾、器種の多様化など、独自の創意工夫が加えられてきました。

 特に江戸時代中期に、茶の湯の世界は大きな変革期を迎えます。千家では門人の増加を背景に、 表千家7代如心斎宗左や裏千家8代一燈宗室らが七事式を制定し、まとまった数の茶道具「数物」も製作されるようになります。如心斎作の「茶杓 歌銘牛の子に」は「北野三十本」と呼ばれる連作で、数物の典型例です。一方、樂家の5代宗入や6代左入は需要に応えるため、一度に多数の茶碗を作り始めています。

 また、千家では古来から使われていたスタンダードなデザインの茶道具を「利休形」として定め、利休の造形を継承しつつ、手造りの茶碗や茶杓などに独自の創意を加え、茶道具に新たな展開を生み出します。

 江戸時代後期以降、千家の茶は公家や日本各地の富裕な町人など幅広い層に普及し、明治時代以降の近代茶道の基礎が形作られました。千家では多様な求めに応じて一行や画賛をはじめ、好み物を多く生み出します。樂家でも需要の多様化を受け、食器などの器種が増えて多彩な釉薬が用いられるようになり、高麗物を写した7代長入作の「彫三島写茶碗」や、国焼を写した9代了入作の「織部写花筏文向付」など写し物も多数製作されました。

 当館で樂歴代の作品が一堂に展示されるのは10年ぶりとなります。今回は千家歴代の作品をあわせて展示し、双方の各代の特徴を明らかにしていきます。前・後期で約50点を展示します。

長次郎作 黒茶碗 銘キリキリス

会期 平成27年1月6日(火)〜3月29日(日)
前期:1月6日(火)〜2月15日(日)
後期:2月18日(水)〜3月29日(日)

黒大棗 利休在判 【後期】

千少庵作 竹一重切花入
雲州蔵帳所載【後期】

道入作 赤茶碗 銘三井寺

仙叟宗室作 茶杓 銘山鳥 【後期】

左入作 天目形黒茶碗 10客の内 【後期】

長入作 彫三島写茶碗

主な展示品 唐物朱輪花盆 宗旦在判 【後期】
関宗長作 真塗手桶水指 【前期】
不休斎宗室好甲赤棗 【前期】
覚々斎宗左筆 発句詠草「ノ貫ハ」 【後期】
啐啄斎宗左筆 一行「萬歳々々萬々歳」 【前期】
長入作 梅蓋物 【前期】

※期間中、一部展示替えがあります。

公益財団法人 湯木美術館

開館時間
午前10時~午後4時30分(入館は午後4時まで)
休館日
毎週月曜日(ただし4月29日(月祝)5月6日(月祝)は開館)、4月30日(火)、5月7日(火)、5月14日(火)
入館料
入館料一般700円/大学生400円/高校生300円
住所
〒541-0046
大阪府大阪市中央区平野町3-3-9
お問い合わせ
TEL: 06-6203-0188
FAX: 06-6203-1080