展覧会

平成25年 春季特別展「茶の湯の漆器―利休と不昧のデザイン―」

茶の湯の漆器の意匠は、16世紀以降大きく変化していきました。そのきっかけとなったのが、茶の湯の大成者・千利休などの茶人や大名たちが自ら「好んだ=デザインした」塗物の茶道具の登場でした。さらに、18世紀には松平不昧によるデザインも加わり、洗練・成熟していきます。

茶道具には、香合や水指、棗をはじめ、懐石の飯椀・汁椀・引盃、さらには燈具の手燭にいたるまで、多くの塗物が含まれます。それらの塗物の茶道具のデザインのうち、今日でも一つの基準とされているのが「利休形」です。利休形は、利休が好んだり寸法などを決めたとされているデザインで、現在も「千家十職」として続く塗師・中村宗哲をはじめ、多くの塗師らが利休形の塗物の茶道具を製作しています。利休形の塗物の茶道具は、絶妙なバランス感覚でデザインされているため、400年以上経った今も広く受け入れられているといえましょう。

また、利休に限らず、さまざまな茶人や大名が塗物の茶道具を好んでいます。特に江戸時代後半に活躍した松江の大名・松平不昧は、洒脱な好み物を多く残したことで知られます。不昧は、文化を奨励・保護し、原羊遊斎や小島漆壺斎などの塗師を育成し、自らデザインした道具を数多く製作させました。なかでも原羊遊斎は、江戸後期を代表する名工として知られています。

本展では、千利休と松平不昧がデザインした漆器の茶道具を中心に、茶人や大名の好んだ漆芸品を、Ⅰ期・Ⅱ期あわせて約70点をご覧いただきます。

不昧好菊蒔絵大棗 原羊遊斎作 【Ⅱ期】

会期 平成25年4月2日(火)~6月9日(日)
Ⅰ期:4月2日(火)~4月29日(祝・月)
Ⅱ期:5月2日(木)~6月9日(日)

亀甲蒔絵錫縁香合 【Ⅰ期】

黒大棗 利休在判 【Ⅱ期】

嵯峨嵐峡蒔絵中次 【Ⅱ期】

猿鶴蒔絵茶箱 鴻池家伝来 【Ⅰ期】

朱盃 酒井抱一画 【Ⅰ期】

片輪車蒔絵菜盛椀
佐野長寛・10代中村宗哲作 【Ⅱ期】

主な展示品 松平不昧筆 絵賛「山を出で」【Ⅰ期】
不昧好片輪車蒔絵香合 【Ⅰ期】
山本春正作 住吉蒔絵平棗 【Ⅰ期】
唐物朱輪花盆 元伯宗旦在判 【Ⅰ期】
酒井抱一筆 宇都山図 【Ⅱ期】
柴田是真筆 意馬心猿図 【Ⅱ期】
唐物肩衝茶入 銘「富士山」
 前田家伝来唐物黒塗組物盆添う【Ⅱ期】

※期間中、一部展示替えがあります。

公益財団法人 湯木美術館

開館時間
午前10時~午後4時30分(入館は午後4時まで)
休館日
毎週月曜日(ただし4月29日(月祝)5月6日(月祝)は開館)、4月30日(火)、5月7日(火)、5月14日(火)
入館料
入館料一般700円/大学生400円/高校生300円
住所
〒541-0046
大阪府大阪市中央区平野町3-3-9
お問い合わせ
TEL: 06-6203-0188
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